更新日:2012.07.04

CODEXとJAS規格ではジュースの定義に大きな相違があります

果汁とは


我々が取り扱う“果汁”にも定義が存在します。


国内の“果汁”に対する定義は国際的な定義とはかなり違っており、そのために問題も生じています。ここでは国際的な標準規格のCODEXを日本のJAS規格と比べながら、その違いを明らかにしたいと思います。


 


(1) CODEXを例とした国際規格


コーデックス(CODEX)委員会は消費者の健康の保護や食品の公正な貿易の確保などを目的として1963年に国際食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)により設置された政府間機関で、国際食品規格の策定などを行っています。現在180カ国以上の加盟国があり、日本は1966年に加盟しました。


世界貿易機関(WTO)では貿易上の問題を解決するためにCODEXの規格を用いています。従って、日本国内でも食品規格を策定する際には、国際ルールであるCODEXの規格が原則的にベースとなります。


 


それではCODEXの定めた“果汁”について、確認してみます。


果汁に関しては2005年に採択された、CODEX GENERAL STANDARD FOR FRUIT JUICES AND NECTORS(CODEX STAN 247-2005)、


http://www.ivegetal.com.br/Legisla%C3%A7%C3%A3o%20Referenciada/CODEX%20STAN%20247-2005%20Suco%20e%20N%C3%A9ctar%20-%20Ingl%C3%AAs.htm


“果汁及びネクターのためのCODEX一般規格”(和訳)があり、以下の項目から成り立っています。


1.      適用範囲


2.      製品の説明


3.      必須成分及び品質要素


4.      食品添加物


5.      加工助剤


6.      汚染物質


7.      衛生


8.      表示


9.      分析及びサンプリング方法


10.  付属書


 


果汁”の定義は2.製品の説明の項目で述べているので、関係するセクションを列挙します。


2.1.1 果汁(抜粋)


ジュースは適切な工程を経て製造され、その果実が本来有し、必要とされる物理的、化学的、官能的、及び栄養上の特徴を維持しているものであるジュースは半透明でも透明でも良く、芳香性及び揮発性のフレーバー成分を元の状態に戻しても良いが、それらは全て適当な物理的手段によって得られ、そして同種の果実から回収されたものでなくてはならない。同種の果実から適当な物理的手段によって得られたバルプやセルを加えることが出来る。


 


2.1.2 濃縮果汁(抜粋)


濃縮果汁は、上記2,1.1に規定される定義に従う製品であるが、付属書に示される同種の果実からの還元ジュースに対して制定されているブリックス値より、50%以上大きな値にブリックスレベルを増大させるために、水の量を物理的に取り除いているという点だけが異なるものである。


 


2.1.3 水抽出果汁 (省略)


2.1.4 果実ピューレ (省略)


2.1.5 濃縮果実ピューレ (省略)


 


2.1.6 果実ネクター(抜粋)


果実ネクターは発酵していないが、発酵しうる製品であり、セクション3.1.2(aで定義されている糖類、はちみつ及び、又は3.1.2(b)に書かれるシロップ及び、又は4.7のその他の甘味料に水を加えたものもしくは加えないものを2.1.1〜2.1.5に定義されている製品又はこれらの製品の混合物に加えて得られるものである。芳香性物質、揮発性のフレーバー成分やパルプ、セルは加えても良いが、全て同種の果実から回収され、且つ、物理的な手段によって得られたものでなければならない。


 


2.2 種 (省略)


 


CODEXの基準によれば、“果汁”とは、果実を適切に搾汁したものであり、果実が本来持っている成分の特徴を維持しているものと規定されます。そして、濃縮果汁とは果汁のブリックスレベルを増加させるために、水の量を物理的に取り除いているという点だけが、果汁とは異なるものであるということです。


一方、果汁に糖類(シロップ、はちみつ、その他の甘味料)を加えてできる製品は、果実ネクターと呼ばれているのです。


 


(2) 国内の果汁に対するJAS規格


日本国内の果汁に関わる品質規格としては、農林水産省と消費者庁の管轄の下で、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)があります。JAS法では特に「果実飲料品質表示基準」が定められており、第2条にはCODEXの2項に相当する製品の定義が述べられます。


 


関係する濃縮果汁及び果汁ジュースの項目を抜粋します。


濃縮果汁


果実の搾汁を濃縮したもの若しくはこれに果実の搾汁、果実の搾汁を濃縮したもの若しくは還元果汁を混合したもの又はこれらに砂糖類、はちみつなどを加えたものであって、糖類屈折計示度(加えられて砂糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除く。)が別表1の基準以上、レモン、ライム、うめ及びかぼすにあっては、酸度(加えられた酸の酸度を除く。)が別表2の基準以上のものをいう。


 


果実ジュース


1種類の果実の搾汁若しくは還元果汁又はこれらに砂糖類、はちみつ等を加えたものをいう。ただし、オレンジジュースにあってはみかん類の果実の搾汁、濃縮果汁若しくは還元果汁を加えたものを含む。


 


果汁に関わる代表的な国内の規格であるJAS規格では、主に消費者向けと想定される果実ジュースのみならず、原料用果汁である濃縮果汁にまで、砂糖、はちみつ等の糖類の添加を認めていることが分かります。


 


(3) まとめ


国際規格基準であるCODEXと国内のJAS法と比べると“果汁”の定義に大きな違いが見られます。


国際的には“果汁”とは果実を適切な方法で搾汁し、その果実が本来持っている成分を維持しているものです。一方、日本の“果汁”は糖類の添加が許されています。つまり、国際的に果実ネクターと呼ばれている果汁飲料が日本の“果汁”の定義と同一なのです。


 


砂糖類の添加を原料用果汁である濃縮果汁にまで認めていることは、“真性(Authenticity)”を求める消費者を裏切ることにはならないだろうか、そして“偽和果汁”を生み出す温床になっているのではないか、と危惧します。


オレンジ果汁においては原料のほぼ100%が輸入品です。


輸入オレンジ果汁の品質を高めるためにも、国内の規格もCODEX並みに変更することを強く求めたいと思います。


                                                                                                                     以上





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